除染監理員をご存知ですか?
住宅の除染作業は市職員の代わりに、除染監理員を配置して進めています。除染監理員は、除染作業をスムーズに行うために、市民と除染業者の間に立って除染作業の打ち合わせや現場の監督を行うなど重要な役割を担っています。
除染監理員の皆さんに伺いました

インタビューのために集まってくださった
除染監理員の皆さん
松川町の松川事務所に勤務する除染監理員のみなさん
除染作業を進めるにあたり、どのような思いで取り組んでいるかお伺いしました。
ご協力いただくことへ感謝しながら
市民の皆さまには貴重なお時間をいただき、除染作業へのご理解とご協力をいただいていることに、日々感謝しながら除染監理業務を進めております。
自分の住まいのことと思いながら
私たちは一つ一つの住宅を自分の家のことと思いながら、住んでいる方の気持ちになって取り組んでいます。住宅の除染作業は、屋根や外壁の洗浄、表土をすき取るなどして、さまざまな場所を除染させていただきます。どの場所も丁寧に除染するように気を使っていますが、お庭は特に気を使っています。「庭は除染していただかなくても…」とご心配される方は少なくありません。その度に胸が詰まります。大事にされている植木や花きに手をつけなければならないのは、つらいものがありますね。植物を全て取り除いてしまえば、作業は早く終わりますし、放射線量は下がりやすいのですが、お庭を大事にされている気持ちも大事にしたい。植木が枯れない程度のぎりぎりのところまで土を取り出したり、作業が終わった土の表面をきれいに整えたりと、除染作業員の方に配慮していただくよう、お願いしながら進めています。
忙しく厳しい職務ですが
私たちは一日6件から8件の住宅に伺い、打ち合わせや除染作業の確認、天候が変ればスケジュールの立て直しなどなど…。一日で、こなさなければならないことはたくさんあります。とてもハードな仕事ですが、「一日でも早く除染を完了させたい」「皆さまを安心させたい」という気持ちが仕事の原動力になっています。
日々、勉強と情報共有を
よりスムーズに、より住民の方の気持ちに寄り添って進められるように、事務所内で勉強会を開いています。そこでは経験から学んだ知識を共有したり、お互いの意見を交換しあったりしています。住民の方から食品の安全性など除染作業以外のご質問をいただくこともありますので、さまざまなご質問にお答えできるよう除染監理員ひとりひとりが日ごろから情報収集を行っています。
感謝の言葉がうれしい
ある住宅へ除染の打ち合わせに伺った際に「来てくださってありがとうございます」と涙を流された方がいらっしゃいました。私たちが訪ねたことで、これまで抱えていた不安が一気にほどけ、安堵されたようです。除染を終えた時、住民の方から「これからは安心して暮らせます」「大変な作業をよくやってくれました」などの声をかけられることもたくさんあります。以前より不安が和らいでくださったのかと思うと、とても喜ばしい気持ちになります。今後も市民の皆さまの安心を取り戻せるよう、引き続き頑張ってまいります。
除染監理員の指導にあたる福島県建築士会支部長 阿部さんに伺いました
社団法人 福島県建築士会
支部長 阿部 良樹さん
建築設計事務所の経営を行うかたわら、除染監理員のマネジメントや指導を行っている。
除染監理員のみなさんについて
誰もが初めての仕事なだけに、戸惑いは大きかったと思います。除染監理員を始めてから長い人では1年になりました。除染監理員同士で仕事を教え合う姿も見られるようになり、だんだんと慣れてきたように思います。作業現場で問題が起きれば、もちろん自分たちで解決しますが、より良い解決法はないかと私が相談にのることもあります。
女性には女性の除染監理員を
訪問先の住宅の方が女性だった場合、女性の除染監理員が出向くこともあります。除染作業自体あまりよく思われていないこともありますから、知らない男性が訪問すれば警戒心を持たれてしまうこともあります。対応してくださる住宅の方は女性が多いのですが、女性の除染監理員が少ないのが現状です。松川事務所の除染監理員は60名。うち女性は全体の3分の1程度。何千件もの住宅を女性の除染監理員が伺うのは難しいことですが、なるべく女性がお伺いできるよう調整しています。
今後の除染作業も
まだ除染が済んでいない地域では、大きな不安を抱えた人たちがたくさんいます。一日でも早く、皆さんの不安を取り除きたい。そのような思いで私自身も除染監理員も除染に携わる業者の方々と一体となって取り組んでいきます。