自家焙煎珈琲 椏久里(あぐり)
福島駅から西へ車で数分。少し路地へ入った閑静なところに、ひときわ目立つ古民家風の建物が目に飛び込んできます。飯舘村から避難され、福島店としてお店を開かれた椏久里さんにお邪魔して、代表の市澤 秀耕さんにお話しを伺いました。
震災から営業再開への道のり
震災から3年、ふるさとを離れ、福島市で営業再開されるまでの道のりを教えてください。
市澤さん:椏久里珈琲は、コーヒー豆を販売するカフェです。震災から1ヶ月後、原発事故によって、営業していた飯館村が避難区域になることが発表されました。その後のことは白紙でしたが、取り急ぎ休業し、今後の身の振り方を考えました。

古民家風の大きなお店。手前が駐車場です。
やっぱりコーヒー屋を続けたい。コーヒー屋をやるなら、それまでのお客様も多かった県北地域がいいかなぁと。営業のスタイルは店舗や立地に合わせるということが自然な成り行きだろうと考えて物件を探しました。そして、避難発表から50日ほど経った5月下旬、野田町の現在のところにお店を開くことを決めました。
それから店舗の改装、住居と店の引越しを急ピッチで進め、幸いにも飯舘村で手伝ってくれていたスタッフにも戻ってもらえて、2011年7月1日に「椏久里珈琲 福島店」を開業しました。
地元福島市の方々を始め、たくさんの皆さんに背中を押され、支えていただき営業させていただいていることを感謝しております。
ふるさとへの想い・料理へかける想い
ひときわ目立つ外観もさることながら、お店の持つ雰囲気に、ゆっくりとした時間の流れを感じます。市澤さんが目指されているお店のコンセプトはございますか?

天上も高く、広く落ち着いた店内。
静かに音楽が流れ、ゆっくりとコーヒーが楽しめそう。
市澤さん:飯舘村では、ブルーベリー農園とコーヒー店のコラボレーションによって、山村という環境を活かした新しい業態を築こうと挑戦していました。ブルーベリー農園は汚染区域にあり、しばらくは経過観察という状況です。今は、いっそう「よいコーヒー」を皆さまに提供できるよう、精進するよう努めています。
自家製ケーキやパンとともに、福島市で皆さまに愛されるコーヒー店、必要とされる店になれるような礎を築くつもりです。また、よいコーヒーを啓発しようとセミナー活動なども行っています。
避難区域となっている飯舘村は、厳しい状態です。再生には長い時間が必要だと思われます。しかしながら、夢見たブルーベリー農園とコーヒー店のコラボレーションをいつの日か再現し、飯舘村の椏久里に笑顔を取り戻したいと望んでいます。
お店のぜひココを見て欲しい(食べて欲しい)!
カウンターの後ろにはたくさんのコーヒー豆が並んでいますし、ショーケースにはおいしそうなケーキが! ぜひオススメを教えてください。

カウンターの奥にある27銘柄のコーヒー豆。
その日の気分で選ぶのもいいですね。
市澤さん:自家焙煎珈琲店の椏久里には、ストレートコーヒーが20種、ブレンドコーヒーが7種、併せて27銘柄のコーヒーが並んでいます。
香味(フレーバー)の違いは、品種を含めた生豆の産地特性と焙煎の仕方の組み合わせによって生まれます。どうぞ、このフレーバーの違いをお楽しみください。
「パナマ・ドンパチ農園産・ゲイシャ種」といった、個性的でレアなコーヒーもあります。
毎月自家製ケーキ(主にドイツやウィーン風)のメニューも変わります。コーヒーとの相性もお楽しみいただければ幸いです。
店舗情報
自家焙煎珈琲 椏久里 福島店
- 福島県福島市野田町6丁目12-194-8
- TEL:024-563-7871
- FAX:024-563-7887
- 営業時間:9時30分~19時
- 定休日:火曜日、第一月曜日
- 駐車場:あり(15台)
- http://www.agricoffee.com/