本名 徹次さん

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本名 徹次さん 指揮者(平成24年1月 来福)

福島の皆様へ

本名徹次

 福島は僕にとってとても懐かしくまた大事な場所。母の実家が福島なので、子供のころはよく遊びに来ました。郡山から4号線を下り、二本松、安達が原を超 え、丘の上から福島の市内が見えた瞬間はいつも暖かい気持ちにさせられました。天神町に到着。冬の祖母はいつもみかんを剥いてくれました。祖父はよくお酒 を飲んで、気持ち良さそうに寝ていました。どこか絵描きのピカソに似ている祖父だったことを思い出します。
 夏になるとすずらん通りにある教会で蝉取りをするのが楽しみでした。福島体育館での『力道山&ジャイアント・馬場 対 デストロイヤー&ブラッシー』の試 合を見たのは僕の宝物の一つです。あのころは『丸』という軍艦の雑誌があり、それも福島へ来るとよく見ていました。遠い昔の懐かしい想い出がたくさん詰 まっている町です。その当時見た、グレンミラー物語の『ムーンライトセレナーデ』が聴こえてくるかのようです。比較的最近の出来事ではありますが、音楽堂 に隣接している『古関裕而記念館』開館の頃のことも時折思い出します。
 震災後、大きな被害を受け続けている福島。きょうは、その復興への強い願いを中村紘子さん、東京フィルハーモニー交響楽団、そして会場の皆様と共にベートーヴェンの音楽に託したいと思います。

※平成24年1月29日に福島市音楽堂で開催された公演「~心と心をつなぐ音楽~vol.3 本名 徹次 指揮 ~東京フィルハーモニー交響楽団&中村紘子~」のパンフレットに掲載されたメッセージです。