第9回 南極便り

 南極便り第9回は「昭和基地のお正月」と「越冬交代式」についてです。
 年末には餅つき、お正月には立派なおせち料理があるようです。
 また、梅津さんが所属する第57次越冬隊の南極での観測活動は次隊へ引継ぎを行い、帰国の準備が始まります。

「昭和基地のお正月」と「越冬交代式」

 前回は「白夜」と「夏の景色」について紹介しました。今回は「昭和基地のお正月」と「越冬交代式」を紹介します。
 次隊(58次隊)は2016年12月23日にヘリコプターで昭和基地入りしました。2017年1月末まで引継ぎ作業、2月1日越冬交代式があり、2月中旬頃まで夏作業(夏季観測、建物建築他)を行い、58次夏隊員はしらせに戻り、我々57次越冬隊とともに帰国の途につきます。

昭和基地のお正月

 越冬生活も残り1ヶ月、大晦日の夕方からは管理棟3階にある食堂で元旦に食べる餅つきをしました。そして 夜11時には、年越しそばも食べました。

餅つきの様子1


餅つきの様子1

餅つきの様子2


餅つきの様子2

餅つきの様子3


餅つきの様子3

餅つきの様子4


餅つきの様子4

 元旦には、調理隊員がこの日のために、数日前から腕を振るって仕込んでいたおせち料理を作ってくれました。

管理棟3階の食堂

お正月の様子1


お正月の様子1

お正月の様子2


お正月の様子2

越冬交代式

 毎年、2月1日は越冬交代式が、昭和基地の看板のある一九広場(19次隊が整備した広場)で執り行われます。(例外で2月1日より遅く越冬交代式が行われたときがあります)

 管理棟を背にして、左側に越冬した隊員、右側に次隊の隊員が並びます。式次第に沿って30分程度の越冬交代式が行われます。最後に越冬隊員と次隊の隊員は握手を交わし、お酒で乾杯、そして全員で記念写真を撮影します。昭和基地の運営・維持管理は次隊へ引き継がれ、越冬交代式は終わります。(写真は昨年2016年2月1日の越冬交代式の様子)

越冬交代式の様子1

越冬交代式の様子1

越冬交代式の様子2

越冬交代式の様子2

越冬交代式の様子3

越冬交代式の様子3

越冬交代式の様子4

越冬交代式の様子4

左側の黄色のヘルメットが56次越冬隊員(26名)、右側の薄緑のヘルメットが57次越冬隊員(30名)

南極観測の始まり

 さて南極観測は、1957年の1月29日に昭和基地のある東オングル島の隣、西オングル島に初上陸した日から始まりました。今年で60年が経ちます。途中2年程、基地閉鎖した期間がありました。

 南極観測の始まりについて、かいつまんでお話します。1957年から1958年に計画された国際地球観測年(IGY)では、未知の世界だった南極大陸を各国が協力し、観測・調査を実施することを目的として、南極観測が始まりました。第二次世界大戦が終わって10年、敗戦国日本がようやく国際社会に復帰をはじめたころでした。主食の米も十分でなかったこの時代に、日本の関係者はこの国際共同観測の大事業に参加することを決めたのです。

 日本が基地を設けるために割りあてられた大陸沿岸域は、アメリカ、ソ連(現ロシア)でも辿り着けなかった人跡未踏の地で、「接岸不能地域」と呼ばれていました。昭和基地のあるオングル島の「オングル」は、ノルウェー語で「釣り針」という意味で、1937年に飛行機から撮影された写真をもとに名づけられたものです。その後、オングル島は二つの独立した島であることがわかり、東オングル島、西オングル島と呼ぶようになりました。そのような地域で何もかもが手探りの状態で、1956年11月8日、観測船「宗谷」で第1次南極観測隊は日本を出発。1957年1月29日、オングル島に上陸した観測隊は、基地を「昭和基地」と命名し、2月14日には11名の第一次南極地域観測隊越冬隊(越冬隊長 西堀栄三郎)が成立しました。

 最後に、第一次越冬隊隊長であった西堀栄三郎氏の語録を紹介します。現代でも通じる語録だと思います。参考にして頂ければ幸いです。

第一次越冬隊隊長であった西堀栄三郎氏の語録

 この中で「同じ性格の人たちが一致団結しても、その力は和の形でしか増やせない。異なる性格の人たちが団結すれば積の形で大きくなる。」の名言は特に、南極で限られた人数(隊員)で基地を維持・観測・生活していくには大事な事であると思っています。これからも、西堀栄三郎氏、そして一次隊の精神や意思を引き継いで南極観測隊がいつまでも続いていくことを願います。

そして、「南極便り」は今回をもって最終回となります。ご覧頂きありがとうございました。


参考文献:プロジェクトXリーダーたちの言葉(文藝春秋)・石橋を叩けば渡れない(生産性出版)
撮影者:梅津正道
国立極地研究所提供


 2017年1月29日に昭和基地は開設60年を迎えました。
 半世紀以上の長い歴史の中で、先人からのスピリットとともに、お一人お一人の地道な観測活動が次の観測隊へ脈々と受け継がれ、隕石やオゾンホールの発見など数多くの成果を上げてこられたのではないでしょうか。

 梅津さんの南極観測隊での活動の様子をお伝えしてきました南極便りは今回で最終回となります。
 ももりんくへの掲載にあたり、梅津さんをはじめ南極観測隊、国立極地研究所の皆さまにご協力をいただき、本当にありがとうございました。

 梅津さんと第57次越冬隊の無事のご帰国と皆さまのますますのご活躍をお祈りいたします。

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