南極だより第3回

南極便り第3回はオーロラのお話です。
オーロラ帯の真下にある昭和基地。
梅津さんが撮影した幻想的なオーロラの写真や動画をぜひご覧ください。

オーロラ

昭和基地とオーロラの写真

オーロラが発光するしくみ

 オーロラは南極や北極域の上空で発光する自然現象です。太陽から「太陽風」と呼ばれる電気を帯びた粒子(プラズマ)が数日かけて地球に到達すると地球の磁力線に沿って加速され、大気中の酸素原子や窒素原子または分子と衝突して発光します。

 

オーロラの発光メカニズムの図

オーロラの発光メカニズム

地球の大気組成の高度分布のグラフ

地球の大気組成の高度分布

 

 物質がプラスとマイナスの荷電粒子に分かれた状態をプラズマといいますが、地球のまわりの磁場は、太陽から吹くプラズマの風(太陽風)の圧力を受けて、太陽に向いた方向は押しつぶされ、逆の方向には引き伸ばされたような形をしています。そうした磁場が押し込められた領域は「磁気圏」と呼ばれます。

 磁気圏の中に侵入した太陽風プラズマは、南極と北極を結ぶ「閉じた」磁力線の間にたまりこんでいて、そうしたプラズマ密度の高い場所を「プラズマシート」と呼びます。このプラズマシートがオーロラ粒子の源であり、オーロラ粒子はもともとは太陽からやってきたもので、「オーロラは太陽からの贈りもの」といえます。

 南極昭和基地では、2月下旬から10月中旬頃までオーロラを見ることができます。

 

太陽風と地球磁気圏のイメージ

太陽風と地球磁気圏

なぜ極地でしか見ることができないのか?

 地球は磁石のようになっていて、地球の周りはその大きな磁石のつくる磁場(磁力線)でおおわれています。

 地球にはN極とS極があって、それを起点・終点にして磁力線が結ばれています。吹き込んだ太陽風はこの磁場によって直接届くことができず、磁力線に沿って地球に運ばれます。極地まで運ばれた太陽風は磁極に吸い込まれて、電離圏と呼ばれる高さ90~1,000kmの領域に入ってきます。そこで大気と衝突します。明るいオーロラは高さ90~200kmに見られます。オーロラは地球の北極と南極に王冠を被ったように現れます。昭和基地は南極の中でも観測条件の良い位置にあります(オーロラ帯の真下)。

 

磁力線と方位磁石の向きの図

棒磁石の周りの磁力線

 

地磁気の座標とオーロラ帯の図

オーロラ帯

北極と南極のオーロラオーバル (DE-1衛星による)の図

北極と南極のオーロラオーバル
(DE-1衛星による)

 

オーロラの高さ

 オーロラの高さは、上空100kmから500km現れ、緑のオーロラの最も明るい部分は110km付近、赤いオーロラの最も明るい部分は250km付近に現れます。また高度280~460km付近を飛翔する「宇宙ステーション」はオーロラを眼下に眺めながら飛んでいます。

オーロラが光っている高さのイメージ

オーロラの色

 オーロラの光のスペクトルをとると、紫や青は窒素分子イオン(N2+)から、ピンク色は窒素分子(N2)から、明るい緑や赤の光は酸素原子(OI)からのものであることが分かります。また目では見えない紫外線や赤外線の領域の光や、地球大気の主成分にはない水素原子(H)からの光も観測されます。このようにオーロラ光のスペクトルは太陽光のような連続スペクトルではなく、それぞれの原子や分子からの輝線スペクトルが組み合わさったものとなっています。

 

【主なオーロラの色】

  • 「緑」 酸素原子 波長558nm
  • 「ピンク」 窒素原子 波長570~770nm
  • 「赤」 酸素原子 波長630nm
太陽の光とオーロラの光の違いの図

太陽の光とオーロラの光の違い

オーロラの明るさ

 良く見られるオーロラの明るさは0.1から0.01ルクス、明るいオーロラの「満月の夜道ぐらいの明るさ」は「0.2ルクス」くらいになります。

1) 満月(0.1~0.2ルクス)
2) 映画館上映中の客席(1~2ルクス)
3) 映画館休憩中(10~20ルクス)

オーロラの写真

撮影者:梅津正道 国立極地研究所提供
※クリックすると拡大します。

 

オーロラの動画

「2016年3月~5月までのオーロラ」

動画ファイル:AURORA_02_640 x 480(long Ver)
動画撮影、編集者:梅津正道 国立極地研究所提供

国立極地研究所 南極・北極科学館(東京都立川市)ではオーロラに関する展示やオーロラシアターのドームスクリーンにオーロラ映像が上映されています。
夏休みにおでかけしてみてはいかがでしょうか?
次回のお話もお楽しみに。
掲載は7月末を予定しています。

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