歴史と温泉を楽しみ、果物王国ふくしまの桃にかぶりつく!

歴史と温泉を楽しみ、果物王国ふくしまの桃にかぶりつく!

 奥羽地方有数の古湯であり、“福島の奥座敷”と呼ばれる飯坂温泉。その一角にあり、地域に多大な貢献を果たした堀切家の旧邸を訪れ、源泉掛け流しの温泉に浸かりながら歴史と文化を学んだり、近くの観光果樹園で今が旬の桃狩りを楽しむプランをご紹介します。

旧堀切邸で足湯に浸かりながら歴史を学ぶ

 鯖湖湯駐車場から看板に従い徒歩5分、大きな門と旧堀切邸という看板が見えてきます。飯坂と明治以降の地域の政治・経済に影響を与えた堀切家の歴史を伝える旧堀切邸を、旧堀切邸館長の渡邉 仁さんに案内していただきました。

旧堀切邸と堀切家の誕生の歴史を教えてください。

(写真左)鯖湖湯のすぐ近く。大きな門が優しく迎えてくれます。 (写真右)今回案内いただいた渡邉館長。館内を丁寧に教えていただきました。

(写真左)鯖湖湯のすぐ近く。大きな門が優しく迎えてくれます。
(写真右)今回案内いただいた渡邉館長。館内を丁寧に教えていただきました。

渡邉さん:堀切家誕生は1578年に梅山太郎左衛門菅原治善という方が若狭国から来たことが始まりなのですが、若狭国からどうして来たのかと聞かれると、実はよくわかりません(笑)
 ただ、こちらに来て「川跡田畑四町歩(約39,700平方メートル)」あまりを開作したこと。そして、村を流れる赤川が大雨で氾濫したため「堀を切って」流れを変え、被害を食い止めたということで、その地の字を「堀切」とし、併せて堀切氏としたと伝えられています。

 そして四代目当主太郎左衛門治久の時に当時の岡代官所(現伊達町)の代官から名主に指名され、1742年に村が白河藩分領になると七代目当主善兵衛治美は苗字帯刀を許され大庄屋格となりました。1784年の大飢饉には米100俵を農民救済に提供し、高50石の郷士に取り立てられ、その後も代が変わる度に同様の格を仰せ付けられました。

県内で最大で最古の土蔵「十間蔵」を初め様々な施設がありますが、ぜひ見どころを教えてください。

渡邉さん:主屋は明治13年に前の主屋が火事で焼失し、明治14年に建て替えられています。基本的に平屋で作られていますが、唯一裏部屋だけ二階がありました。天井の高さを隣の部屋と比べていただくとご覧の通り低く、この上に同じ広さの部屋があったということです。では、階段がどこにあったかというと、現在はないのですが、下に引き出しが付いている押し入れの中に階段があり、二階に上がっていたということです。

(写真左)主屋の様子。右奥がもともと二階のあった裏部屋。 (写真右)樹齢260年以上のケヤキと、建築年代がわかる、現存する土蔵としては福島県内で最古となる十間蔵。

(写真左)主屋の様子。右奥がもともと二階のあった裏部屋。
(写真右)樹齢260年以上のケヤキと、建築年代がわかる、現存する土蔵としては福島県内で最古となる十間蔵。

 続いて十間蔵ですが、長さが十間(約18メートル)あるということで名前が付いています。建築年代がわかる、現存する土蔵としては福島県内では最古であり、福島市の有形文化財に指定されています。最初は造り酒屋も行っていたので酒造蔵としても使われていたり、他にはもみ蔵とか穀物蔵とかに使われていました。最近ではイベントや写真展などの展示会として使用されています。

 十間蔵の隣に大きなケヤキがあるのですが、樹齢は約260年以上とのことです。昔はこの下に川があり、その川原にあったケヤキをそのまま育てたのではないかと言われています。

主屋の一部と下蔵は貸し出しが可能ということですが、実際にどのような使われ方がされているのでしょうか?

渡邉さん:下蔵はイベントで踊りの発表など色々な催し物に貸出しています。飯坂のハワイアンフェスの時の会場などにも使われました。普段の練習として日本舞踊のお稽古などにも使われています。

(写真左)オープンな野外ステージとなる下蔵。伝統芸能など似合いそうです。 (写真右)主屋の一室にて毎月無料の書道教室が開かれています。

(写真左)オープンな野外ステージとなる下蔵。伝統芸能など似合いそうです。
(写真右)主屋の一室にて毎月無料の書道教室が開かれています。

 主屋の方は、毎月第二、第四火曜日に宮城教育大学名誉教授・書家の加藤豊仭先生が講師をされている無料の書道教室などで使われています。

新蔵、中の蔵、道具蔵では資料が展示されているそうですが、実際にどのようなものを展示されてますか?

 新蔵は元々衣裳蔵として使われていたそうです。名家としてふさわしいお嫁さんも来ましたので、色々な衣裳もあったと思われます。それらを保管する蔵として使われていたそうです。現在展示されているものは、堀切家の歴史に関する由来書や当時の堀切主従を描いた絵の写真、そして堀切家の系図などがありますが、主なものは会津若松市の県立博物館や、福島市の県文化センターにある歴史資料館に保管されています。
 中の蔵はそもそも座敷蔵として作られていまして、現在はパネルで隠れていますが、床の間があります。昔は書籍などを入れておく蔵として使われていたそうです。金融業も営んでいましたので、床には使われていたと思われる金庫があります。そして珍しいのは、うさぎが真正面を向いている釘隠しです。うさぎは多産系なので子孫繁栄の意味がありますし、大きな耳でどこよりも情報を早く収集することが商機に繋がるという意味もあってでしょう。

(写真左)中の蔵にある、正面を向いたうさぎの形をした釘隠し。 (写真右)道具蔵には堀切本家の提灯なども展示されています。

(写真左)中の蔵にある、正面を向いたうさぎの形をした釘隠し。
(写真右)道具蔵には堀切本家の提灯なども展示されています。

 道具蔵は、上には布団を納めておく長持ちなどが入っていて、一階には食器類など納められていました。現在は十五代善兵衛さんを始め、次男の善次郎さん、五男の久五郎さんの、のちに日本の国政に大きな影響を与えた「堀切三兄弟」と言われた方たちの写真資料などが展示されています。あと善兵衛さんなどは海外留学へ行かれましたので、その時のトランクの実物もあります。

 もう一つ、今では見れない物として「堀切本家」という提灯があります。今は本家っていうのはあまり流行らないのですけども、昔は本家ということになれば分家が皆さん集まってお手伝いしたりしていました。

堀切邸内には手湯と足湯があるということですが?

(写真左)車いすの方も利用しやすいよう設置された足湯・手湯。 (写真右)美しい庭園の中央付近には井戸小屋があります。

(写真左)車いすの方も利用しやすいよう設置された足湯・手湯。
(写真右)美しい庭園の中央付近には井戸小屋があります。

 泉質はアルカリ性単純温泉で、神経痛・筋肉痛・冷え性などに効果があります。ここは源泉かけ流しなので、温度調節が非常に難しいです。若干熱かったり、ぬるかったりします。入ってくるお湯の量で調整するものですから、時々みなさんに「熱い!」って言われる時があります(笑) ちなみに手湯や足湯を利用する時は、離れにて無料でタオルの貸し出しもします。園内にあるものなので落ち着いて入れるということもあり、観光客以外に地元の方もご利用になっております。

果物王国ふくしまのジューシーな桃をほおばる!

飯坂町の旧堀切邸を後にして、お腹が空いたら今が旬の桃狩りへ行ってみましょう。今回は福島駅より車で約15分ほど行ったところにある「みちのく観光果樹園」さんにお邪魔し、社長の片平 新一さんに桃狩りの楽しみ方やおいしい桃の見分け方などを教えていただきました。

今年の桃の出来とこれからの時期にオススメの品種について教えてください。

(写真左)色づきがよい「あかつき」がまずはオススメ。 (写真右)片平 新一社長においしい桃の見分け方や桃狩りの楽しみ方をお聞きしました。

(写真左)色づきがよい「あかつき」がまずはオススメ。
(写真右)片平 新一社長においしい桃の見分け方や桃狩りの楽しみ方をお聞きしました。

片平さん:私たちの果樹園は6月から桃があるのですが、雨が多く苦戦しました。今は天候回復とともによくなってきていますので、おいしい福島の桃が楽しめると思います。

 オススメの品種なのですが、福島の一番メインとなる「あかつき」です。その後「白桃」に変わるのですが、「川中島」という桃が8月の下旬から出ますので切れ目なく続いていきます。夏休みだと前半が「あかつき」、中間に「まどか」などを挟みながら「川中島」に移行します。「川中島」も色々な種類がありますが、特に「一宮」という種類がオススメです。あとは少し季節がずれますが、9月の「ゆうぞら」という種類の桃もおいしいです。

おいしい桃の見分け方や、楽しい桃狩りをするための秘訣を教えてください。

(写真左)平日ながら桃狩りを楽しむお客さんで賑わっていました。 (写真右)おいしい桃は白地に紅く色の付いた粒の大きいもの。

(写真左)平日ながら桃狩りを楽しむお客さんで賑わっていました。
(写真右)おいしい桃は白地に紅く色の付いた粒の大きいもの。

片平さん:福島盆地の熟している桃の見分け方は簡単です。地色の緑が抜けていて、白地に赤く色の付いたものが熟しています。特に色の濃いものを選んでいけば熟しています。さらにその中でも美味しい桃を探したい場合は、その木の中で粒の大きいものを探してください。大きい桃は栄養を多くもらっているので、その木の中で一番おいしいということです。あとは、果樹園で食べる醍醐味として触って少し押しても大丈夫なことです。あんまり押すと潰れてしまいますが、木に付いている限りは少しくらいなら押しても直ります。柔らかい桃が好きな人や固い桃が好きな人がいますよね。そうやって自分の好みの桃を探して食べるのが醍醐味でしょうね。
 注意事項と言いますか、お客様と私ども双方が和やかに出来るのは、ルールを守ってもらうことですね。特に高いところは三脚を使いますから、私たちの注意を聞いて、けがの無いようにしていただきたいと思います。あとは、選び方をよく聞いていただければ、おいしい桃が選べるはずです。聞かないですぐ始める方もいらっしゃいますが、聞いた方が得だと思います(笑)

詳細情報

旧堀切邸

  • 住所:福島県福島市飯坂町東滝ノ町16
  • 電話:024-542-8188
  • 開館時間:9時から21時
  • 休館日:無休(臨時休館する場合があります)
  • 入館料:無料
  • 駐車場:鯖湖湯(旧飯坂支所)駐車場、若葉町駐車場、パルセ飯坂駐車場をご利用ください。


みちのく観光果樹園

  • 住所:福島県福島市在庭坂字南林51-1
  • 電話:024-591-1503
  • 営業時間:8時から17時
  • 営業日:桃狩りは7月20日頃~10月下旬頃まで(シーズン中は無休)
  • 料金:大人(中学生以上)860円、小人(3才~小学生)640円、幼児(3才以下)無料 ※全て税込み
  • 狩り取り時間:30分
  • 駐車場:大型6台、普通車20台
  • ホームページ: http://www.fruit-land.com/