今年もうまい、甘いモモになっています。

今年のモモはいかがですか。

桃の写真 暑さのおかげもあり、甘くてうまい実になっています。放射性物質も非検出です。徹底して除染作業を済ませましたので心配はしていません。私のところでは、この後、柿、リンゴと続きますが大丈夫だと思っています。

 

 

 

 

除染作業にあたっては

 飯坂町の小川地区では約30軒の農家で「農振会」という集まりを作って活動しています。専業農家も兼業農家もあり、生産の規模も、年齢もさまざまです。除染作業については、自分でできる人、頼みたいという人、頼まれてもいいよという人に分けました。

サクランボの木の写真

 もともと、リンゴと柿は、粗皮の下での虫の越冬を防ぐため、冬の時期に「粗皮削り」という作業をします。その点で除染のために高圧水で、樹皮を洗うことに抵抗はありませんでした。
 しかし粗皮削りは、本来は表皮が荒れる木の古い部分のみ行うのですが、除染作業では幹や太い枝だけでなく「手首の太さの枝まで」という基準で洗わなくてはならないという違いがありました。作業範囲が大きくなり普段の数倍も時間がかかると考えられましたが、12月からの3カ月は剪定作業をする時期ですので、剪定を終わらせて枝数を減らしてから除染した方が効率的だと計画しました。
 自分の園地では、11月から剪定作業を始め、その途中で他の農家の園地の除染作業もしましたが、実際の除染作業は想像以上に時間がかかる作業でした。その時点から自分の園地の剪定は中断し、効率は悪いですが「除染を先、剪定を後」という手順にしました。
肝心の剪定が終わって枝を片付けたのは、モモの花が咲いている5月でした。農振会の会員の中には、まだ収穫できる古い木を数年早めに倒し、植え替えを決断した方もいます。

 

 

 

 

震災直後大変だったことは

 震災直後は、何が何だかわからない中、20マイクロシーベルト毎時などという線量の中で果樹の作業をしていました。ウメで出荷制限を超える数値が出たという情報もあり、サクランボは大丈夫だろうかと不安もありましたが、6月にはお客様への対応が待っていました。例年、モモの出荷は贈答用がほとんどを占めますが、いつものお客様からの注文は半分以下。しかし「応援するよ」という新規の方がもりかえしてくれました。収穫の時期は忙しく出かけてはいられないのですが、丹精こめてつくった桃を、食べてもらえるよう、まわりでイベントは無いかとアンテナを張って、東京のイベントなどへ出かけました。

これからについて

安斎 忠幸さん顔写真 今年の果実の放射線量の数値は非検出ですので、徹底して行った除染作業の効果を確認できています。昨年の大変な時期に、新しく福島のくだものを手にしてくださった方々、応援してくださった方々に応えられるようにしていこうと思います。

 

 

プロフィール

 飯坂町小川地区で生まれ育ちました。
 後継者として果樹農業に就き、モモ、リンゴ、サクランボ、柿を中心に、プルーン、ブルーベリーを少し栽培しています。約10年になります。
 飯坂町小川地区は、果樹農家の多い地域です。除染作業への取り組みで互いのことがより近く感じることができるようになりました。

除染をおこなったエリア

 「農振会」を形成する飯坂町小川地区 【地図